糖尿病・代謝・内分泌内科

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第16回  “糖尿病”という病名

みなさんは“糖尿病”という病名に疑問を持ったことはないですか?
読んで字の如し、尿の中に糖が出る病気なのですが、現在の糖尿病の診断基準には尿糖陽性の所見は含まれていません。さらに、SGLT2阻害薬(ルセフィ®、ジャディアンス®、フォシーガ®など)という尿に糖を出す薬が、糖尿病の治療薬として使われています。おかしいですよね。
糖尿病は英語でDiabetes Mellitusと呼ばれています。Diabetesという言葉は、サイフォンのように水がジャンジャンあふれ出す状態を表しています。また、Mellitusは蜜のような甘いという意味を持っています。Diabetesな状態は尿がいっぱい出る多尿の病態を示しています。多尿になる病気中でも無味の多尿の尿崩症(Diabetes Insipidus)と、蜜のような甘い多尿の糖尿病(Diabetes Mellitus)を18世紀の医師ウィリアム・カレンさんが分類し、日本ではDiabetes Mellitusが直訳された“糖尿病”という病名を今でも使用しています。
しかし、尿という排泄物の名前の付いた病名を患者さんに付けるのはスティグマ(負の烙印)ではないかという声が最近上がっています。実は、Diabetes Mellitusの病名に“尿(urine)”という直接的な表現を使用しているのは日本と中国だけです。そのため、糖尿病という病名を変更しようという動きがあります。果たしてどんな病名がいいでしょう?名案を思い付いた方は、日本糖尿病協会までお知らせください。