診療科のご案内

リハビリテーション科

概要

当院には急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟のそれぞれに、広々としたスペースのリハビリテーション訓練室があります。そこでは、経験豊富な理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が患者様個々の状態にあわせて、適切なリハビリテーションを行っています。いかなる疾患に対しても、できるだけ早期から、そしてより積極的にリハビリテーションを行うことで、患者様が最大限に回復されるよう、当科スタッフ一同がチームを組んで患者様に対峙しています。

特に、回復期リハビリテーション病棟においては、ゆっくりと時間をかけた入院生活の中で、着実に患者様が回復し、以前の生活レベルに少しでも近づいていけるよう"全人的な"リハビリテーションをご提供しています。必要があれば、退院後の在宅生活におけるリハビリテーションについても適宜アドバイスを行い、"退院後にも頼っていただけるリハビリテーション科"となるよう心がけています。

また、特に脳卒中後遺症については、慢性期にあってもいまだ症状(手足の麻痺、痙縮、失語症などの高次脳機能障害)が残っている患者様を対象とした「脳卒中リハビリテーション専門外来」を開設しています。

回復期リハビリテーション ~回復期にある患者様のために

当院にある43床の回復期リハビリテーション病棟では、他病院で脳卒中の急性期治療や整形外科手術を受けられた患者様を積極的に受け入れています。そして、日曜日や祝日にも訓練を行うことができる体制をとっており、1日に最大で3時間の訓練を受けていただくことが可能です。循環器系、呼吸器系、消化器系疾患など、他臓器の合併症をもった患者様を受け入れることも可能です。回復期リハビリテーション病棟では、ゆっくりと時間をかけた入院生活の中で、着実に患者様が回復し、以前の生活レベルに少しでも近づいていただけますよう“全人的なリハビリテーション”を行っています。

訪問リハビリテーションと通所リハビリテーション ~生活期にある患者様のために

在宅で暮らしながらリハビリテーションを必要とする患者様には、当院の訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションをご利用いただくことが可能です。訪問リハビリテーションでは、当院の療法士が患者様のご自宅を訪問し、そこで個別訓練を行います。通所リハビリテーションでは、小型バスによる送迎サービスが利用できます(ご家族が付き添う必要はありません)。もちろん、当院への入院歴がない患者様にもご利用いただけます。

急性期リハビリテーション ~当院で手術や急性期治療を受けた患者様のために~

当院の内科、外科、整形外科に入院され、手術や急性期治療を受けられた患者様に対しては、早期の退院が実現できますように、入院後のできるだけ早期からリハビリテーション(いわゆる“急性期リハビリテーション”)を行うようにしています。そうすることによって、足腰の筋力低下や心肺持久力の低下が予防されています。

対象疾患

脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、パーキンソン病などの脳神経疾患、高次脳機能障害(失語症、記憶障害など)、整形外科手術後やがんによる身体機能低下、加齢による身体機能低下(歩行困難、下肢筋力の低下など)、心不全・呼吸不全・腎不全による身体機能低下など

脳卒中リハビリテーション専門外来

当院もしくは他施設の回復期リハビリテーション病棟を退院したものの、脳卒中による麻痺、痙縮(筋肉のこわばり)、高次脳機能障害(失語症、記憶障害、注意障害、脳卒中後うつなど)、痛み・しびれ、下肢装具の選択などにいまだお悩みの患者様に対して、最新の治療(経頭蓋磁気刺激治療、ボツリヌス毒素治療など)を検討し、さらには適切なアドバイスをご提供する外来です。かかりつけ医からの紹介状(簡単なものでかまいません)をご持参のうえ、受診してください。

ボツリヌス毒素治療について

脳卒中によって麻痺が生じると、麻痺した手足の緊張が不必要に高まる(筋肉が固くなる、こわばる)ことがよくあります。これは“痙縮(けいしゅく)”という症状ですが、この痙縮に対する新しい治療法がボツリヌス毒素治療です。ボツリヌス毒素は筋肉を弛緩する(ゆるめる)作用を持っているため、固くなっている筋肉にボツリヌス毒素を直接に注射すると、痙縮が軽減します。“毒素”と名がついていますが、人工的に精製したものなので安全性は高く、副作用はほとんどありません。外来で注射することができ、一度の注射でおよそ3か月間にわたり効果が持続します。なお、ボツリヌス毒素治療は、保険診療として行われています。

高次脳機能障害について

脳卒中発症後に、失語症(言葉の不自由)、記憶障害、注意障害(ぼんやりとしている)、性格変化、行動障害(やる気が出ない、すぐに怒り出す)、うつ症状などが出現することは、決して珍しくはありません。これらの症状は、総じて“高次脳機能障害”と称されます。
脳卒中患者様の場合、たとえ手足の動きが保たれていたとしても、高次脳機能障害が存在すると、日常生活や社会生活が妨げられることがあります。特に、高次脳機能障害のために、復学や復職が困難になるケースは多々あります。よって、当外来では、各患者様の高次脳機能障害を詳細に評価・検査したうえで、日常生活・社会生活をよりよくするためのリハビリテーションを行います(投薬を試みる場合もあります)。必要があれば、自主トレーニングの指導も行います。

下肢装具について

脳卒中で下肢麻痺が生じた場合、足関節の背屈障害(つま先を持ち上げることができない)、下垂足もしくは尖足(つま先が下に垂れてしまって、かかとが浮いてしまう)、内反(足の内側が浮いてしまう)がみられ、歩行障害をきたすことがよくあります。このような場合、下肢装具(膝より低い高さまでの“短”下肢装具でさまざまな種類があります)を適切に用いることによって、歩行困難を改善させることができます。よって、当外来では、専門資格を持った義肢装具士と協力して、各々の患者様が最適な下肢装具を選択できるよう、アドバイスもしくは装具作成を行います。

受診にあたって

  • 当院回復期リハビリテーション病棟への転院を希望される患者様もしくはそのご家族は、“当院の地域医療連携室”までご相談ください。ご家族による病棟見学も随時可能です。
  • 当院外来通院下でのリハビリテーションを希望される患者様は、紹介状をご持参のうえで、当科外来を初診してください(原則的に予約制)。
  • 当院訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの利用を希望される患者様もしくはそのご家族は、地域医療連携室までお問い合わせください。

診療実績

当院回復期リハビリテーション病棟における平均在院日数は、約60日となっています(平成29年4月現在)。在宅復帰率は平均して90%以上となっており、全国的にみても高い値(自宅に退院できる患者様が多い)となっています。
なお、本邦では平成29年1月から、回復期リハビリテーション病棟では“実績指数”なるものの定期的な算出・報告が課せられています。この“実績指数”は、「どれほど短期間に、どれくらい機能が改善したか」を端的に示す値であり、値が大きいほど「より短期間に、より大きい改善が生じた」ものと判断されます。当院回復期リハビリテーション病棟入院患者様における実績指数は、常に高い値を維持しており、当院のリハビリテーションの“質の高さ”が示されていることとなります。