診療科のご案内

脊椎脊髄外科

代表的な疾患と手術方法

1.脊椎内視鏡手術(腰椎椎間板ヘルニア摘出術、内視鏡下開窓術)

低侵襲手術として有名な方法です。手術による傷口は18mmと小さい為、身体にかかる負担が小さく、治療に要する入院期間(およそ7日間程度)も短い為、早期社会復帰が可能な手術です。手術方法には腰椎椎間板ヘルニアに対するMED法(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)、腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性すべり症に対するMEL法(内視鏡下腰椎椎弓切除術)があります。当科は内視鏡技術認定医が執刀しており、安定した成績を提供できると自負しております。

内視鏡手術全景

内視鏡手術では腰部脊柱管狭窄症でも除圧できます

内視鏡で椎間板ヘルニアを見たところ

2.後方椎体間固定術(PLIF)

腰椎変性疾患の椎体固定術として最も一般的な手術です。腰椎後方椎体間固定術(PLIF)は腰椎変性すべり症や分離症、変性側弯症などの治療で行われる手術方式です。
脊髄及び腰椎の固定や矯正を目的とするもので、腰部の後方から切開します。神経を圧迫している患部の骨や靱帯を切除した上で、スクリューを椎体に入れて、変形してしまった椎間板を正常に近い形にするためにケージを打ち込むといった対処をすることで脊椎を安定化させます。

3.頚椎前方固定術、頚椎椎弓形成術

頚椎手術は前方からあるいは後方から進入する方法に大きく2つに分かれます。頚椎前方固定術は頚椎を前から進入し、椎間板を郭清し、椎体を削って神経の圧迫を取り除き、金属製の内固定材(ケージ)と金属製のプレートで固定する手術です。必要に応じ骨盤や下腿から骨を採取します。また、骨を採取したあとの骨盤にはセラミックなどの人工物を補填する場合もあります。頚椎椎弓形成術は後方から脊柱管を広げ、脊髄の圧迫をとる手術です。手術の選択は患者さんの状態によって決定します。

4.骨粗鬆症性椎体骨折の再建手術

骨粗鬆症は1200万人以上の患者さんがいるとされ、骨粗鬆症に伴う骨折も増加しています。骨粗鬆症の薬を使い、骨折の予防をすることは重要ですが骨折が起きてしまった場合、治療が必要になります。背骨の骨折(椎体骨折といいます)は骨折が起きた場合はまずコルセットやギプスなどの保存療法が行われますが、麻痺症状がある、持続性の強い腰痛があるなどの症状がみられた場合必要に応じ手術が検討されます。
手術は骨折椎体にセメントを挿入して固定する方法、金属を用いて脊柱を固定する方法、骨折椎体を金属で置き換える方法など病態に応じて治療法を選択しています。

セメントを挿入して固定する方法の手術手技

骨折椎体を金属で置き換える方法

5.椎弓根スクリューを用いた側弯症手術

背中側を切開して椎骨の後方に椎弓根スクリューという金属を挿入して変形を矯正する手術を行います。椎弓根スクリューによる変形矯正は従来の方法に比べ良好な矯正が可能です。O-armナビゲーションシステムを導入して、正確に椎弓根スクリューを挿入できるように安全対策を行っております。また手術中は常に脊髄に電気を流し、脊髄神経の障害が起きていないかをリアルタイムに確認できる脊髄モニタリングも行いながら手術を行っており、手術治療の安全性はかなり高くなっております

症例:特発性側弯症

6.成人脊柱変形に対する変形矯正手術

脊柱変形矯正手術は、脊椎外科の中でも最も難易度の高い手術のひとつとして位置づけられています。当大学では脊柱変形疾患における代表的手術である脊柱変形矯正手術に取り組んでいます。近年ではLLIFといわれる固定術(手術の解説5参照)が導入され手術が低侵襲化され、80歳代の高齢の方でも条件が合えば手術を選択することができました。

症例:脊柱後側弯症